りせい君の理性が危うい瞬間




「羽子...俺のモノになる気ない?」


女にはない、男だけにしか存在しない大きな喉仏を、色気たっぷりに上下に動かす利生君。



ダメだ、ウソだ、惑わされてはイケナイ。


なんでこんなにも、頭が利生君でいっぱいになるのか。


目が眩んじゃうくらいに、爪先から心臓まですべてが彼に集中している。


そんなのって絶対おかしいよ。


だって私ーー...利生君みたいな性格の悪い男、嫌いなんだもん。



「私は...利生君のモノにはならないよ...」


「...それは、どうして?」


「私はオモチャじゃないから」


オモチャは、すぐ飽きられちゃうでしょ?



一時的な物欲なら、その場で我慢すればいい。



「利生君は、我慢を覚えた方がいいと思う」



押し倒されたソファで、隠すものは何もなく。
ただ利生君から目を逸らすことでしか、このおかしな空気から逃れる事が出来なかった。



だけど、逃げることを利生君は許してはくれない。



「羽子、俺のモノになるなら、あんたの母親の入院費と手術代...出してあげてもいいよ?」


「ーーーッ!?」


「困ってるんでしょ?お金に。 もっといい病院に移さないと、お母さんが危ないってことも知ってるよ」


「...っ、なんでそこまで...っ」


「...さあ、どうする?ーー決めるのは羽子だよ」




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