りせい君の理性が危うい瞬間





「ほら、羽子」



触れそうで、触れない唇の前に利生君がもってきた手から“ちゅっ“とリップ音。



「契約完了。 これで羽子はもう俺のモノだね?」



ニッと笑って、私を抱きしめる利生君の背中から見えた、黒い翼。


その翼から羽が1本床に落ちて、そのまま消えていった。



「俺に逆らっちゃ...ダメだからね?
逆らったら羽子のお母さんも...羽子の人生もどうなるか...分かってるよね?」



優しい温もりがある体温を私に注ぎながら、耳元で脅し始める利生君に、ゾクッと体が一瞬で強ばったけど。



...頼る人が今は利生君しかいなくて。


私の世界は利生君が握ってるんじゃないかって思い始めてきた。



「飽きるまで...ずっと、遊んであげる」



利生くんはやっぱりどこか、歪んでいる。

この奇妙な利生君との物語は始まったばかり。













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