りせい君の理性が危うい瞬間
顔に熱が溜まる。...それは利生君を意識する度に貯まっていく貯金のようだった。
「最悪...っ。 私の事、特別って言ったくせに...なんで優しくしてくれないの?」
揺れた車が、素材のいい革でできたシートに寝転がってる私を無気力にさせた。
抵抗しない私の唇から離れ、利生君は見下すように眉を下げながら笑う。
「特別だからって優しくしなきゃいけないなら。 俺は羽子を“特別“だとは呼ばないよ」
出会った時からベタベタまとわりいてたくせに、一瞬で突き放す言葉を吐く利生君に違和感を覚えた。
なんか...やだな...。
特別だのなんだの言ってたくせに、急にそれを取り止められると悲しくなってくる。
捨てられた...なんて、思ってしまうこの孤独感はなに?
「わこ、そんな悲しい顔しないでよ。 大丈夫、羽子はちゃんと俺の特別だよ?大切にはするけど優しくはしない。だって...俺で壊れてくれなきゃ困るから。
壊したくなるくらい大事ってこと。」
ーーポンポンと、2回優しく叩かれた背中が妙に熱い。
ぐるぐるぐるぐる、視界が利生君で回ってる。
利生君の愛し方は、変だ...変だけど。
ちょっとだけ、気持ちいいと思ってしまうのは...なんでだろう。