りせい君の理性が危うい瞬間




目を開くと、ペットボトルを手に持ち、その水を口に含んだ利生君が私の唇に自身の唇を押し付けてるじゃないか。


溶けて小さくなった氷の破片が、私の口の中のあっちこっちにいる。


ーーガリっとその氷を噛んで意識を取り戻すと。



「羽子の唇、いつも熱いね。 もっと俺で冷やした方がいいんじゃない?」


“もう一回“と。人差し指を立てる利生君は、とんだキス魔だ。




「りせ...い君の、唇。 冷たすぎてなんかヤダ」


「ははっ、体温高いくせに態度は冷たいよね?羽子って。
...でももう、抵抗はしないんだ? いい子だね」


抵抗したら、怒るくせに。


私の弱みを握ってる利生君がとぼけると、ただの悪役にしか見えない。



だけど、それでも。 彼の隣に居なければ、いつか壊れてしまいそうな気がした...。


利生君は心の安定剤。


おかしな利生君と一緒にいることによって、孤独な日常が壊れていく...それが心地いいから


たぶん、もう。後戻り出来ない気がするんだ...。


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