りせい君の理性が危うい瞬間




安藤さんの存在が遠のいていくことが、扉越しでも分かった。



安藤さんは利生君が好きだから、あんなに怒ったり、こんな酷いこと平然と出来るのかな?



恋をすると。人っておかしくなるなら、じゃあ私は恋なんかしない方がいいと思うんだ。

人を思うって辛いだけだよ。


愛なんてモノは人をダメにする。 人が人のために何かをやってみせる正義は...ほとんど。


他人を巻き込んでしまうのだから。





「...ふぅ...」


この数時間の間、何度ため息を吐いただろうか。


チャイムが何度も鳴って、多分今お昼時間だと思う。



そういえばため息ついでにお腹も鳴っていたような気がする。


でも不思議とここから出たいなんて思わなかったのは、出たら出たで利生君の相手をしないといけないからだ。



もう嫌だ もう誰とも関わりたくないし

学校で息をしている限り、いろんな人が私と利生君の関係を疑ってくる。



利生君との関係も、ただでさえおかしいのに。

学校でいじめられたりなんかしたら、私自身がおかしくなっちゃうよ。



いっそのこと、体育倉庫で閉じ込めらたままでもいいような気がしたけど


あくどい現実は、私を逃がしてはくれないみたいだ。




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