りせい君の理性が危うい瞬間







「ククッ……ハハッ、羽子はほんっと……面白いね。
 あんたにだけはいつまで経っても好かれる気がしないよ。……でも……ねぇ?」



ーーグイッ!とこんどは、利生君が私の胸ぐらを掴み、強引に引き寄せる。


ブチッと胸元にあったリボンがシュルッ……と、ワインレッド色のカーペットの上に落ちていき。


それが床に落ちたのを利生君は確認すると。


ーーダンッとその足で、リボンを踏みつける。




「残念だけど、俺ってさ。
 どちらかと言うと人を従わせたい方なんだ」


「……っ」


「だからその気持ちを余計高ぶらせた羽子が悪いんだよ……?
 ちゃんと、責任とってね」


「ーーッ!?」



近づいてくる利生くんの綺麗な顔。


光も闇も寄せ付けない。

でも、逸らす前に吸い込まれてしまいそうな"無"の目を見ていたら、視界がどんどんボヤけてきた。



また……唇を奪われる。



< 73 / 93 >

この作品をシェア

pagetop