りせい君の理性が危うい瞬間
「ねえ、そろそろ球技大会だけど。
羽子達のクラスは何やるか決まった?」
私の帰りなんか誰も待ってくれないクラスメートが1人もいない教室の中で。
ポツンと1人、学級日誌を書いていると。
ポキッと、さっきまでスラスラ紙の上を滑らせていたシャーペンの芯が折れる。
折れた原因は、イスに座っている私の背中に、利生君がズシッともたれかかってきたからだ。
「……利生君、重い」
「ねえ、俺の話聞いてる?
羽子はバスケとドッヂボール、どれ選んだ?」
「私はバスケ。
利生君は?」
「一緒。
男女別だから、お互いの試合時間が被らなければ応援できるね」
「いや、同じチームの人応援しなきゃ駄目だよ」
「やっぱ頭固いねー、羽子。
俺は羽子以外興味ないから、球技でぴょんぴょん跳ねてる羽子が今から楽しみで仕方ない」
「……それ見て楽しいの?」
「そりゃあもう……すっごく」