うしろから、さんばんめ。
1・落ちこぼれクラス
episode : 1




【落ちこぼれクラス】









お母さんが、部屋のドアをうるさく叩く。
「こら、あすか。出てきなさい!!籠ってたって仕方ないでしょ。」
「やぁだぁよぉぉ~……!! 人見知りに、転校は致命的なのっ……。」





高校1年になったばかりの、ある日。
お父さんの仕事の都合で転校することになった。






家族みんな社交的なのに、私だけこんなに内気だ。
行きたくないなぁ……学校……。






「えっと……はっ……初めましてっ……、瀬上あすか、ですっ……。」
見事に、誰も聞いてない。
そりゃそうだ。このクラスは……、




ずばり、"落ちこぼれクラス"……。






「……はいはい!お前ら、転入生が来てんだよ。少しは聞いてやれ!」
担任の……誰だっけ……あ、堀田先生。通称、堀ティー(?)……らしい。
堀田先生が大声で注意すると、やっとクラスの3分の1程度がこっちを見た。







「あ……?……あんた、名前、なに。」






一人、すごく綺麗な顔立ちの女の子が、席をたち、話しかけてきた。






バッサリしたショートヘアで、前髪は眉上。
結構個性的な髪型だと思うけれど、とてもよく似合う。
メイクが軽く施されているようだ。






声はすごくクールで、表情もあまり変わらない。
ミステリアスな雰囲気が漂う、美少女。






どんどん、教卓の前にいる私に近づいてくる。
制服に付いた名札を、怖い眼差しを向けながら、指でなぞってくる。
あぁぁもう……怖い……!!





「えっ……と。せがみ……です……。せがみ、あすか……って言います…。」






回りはざわざわしているけど、
私たち二人の間だけ、沈黙が流れた。
これって漫画とかアニメだったら、いじめられるやつじゃん……!!







「ふ~ん……、あんた、超タイプなんだけど。めっちゃ可愛いじゃん。」







……え?
た、タイプ……?
衝撃的な一言だった。






「……いや違うよ、そっち系ではない。誤解しないで。」
「あ……そうだよね。」
「もちろん女友達としてだよ。よろしく。ほら、ここ座りな?」
「ありがとう……あのっ……な、名前は……?」









「……真野ひより。適当に呼んで。」
「………………うんっ…!」










席につくと、ひよりちゃんは頬杖をついて、どこか一点を見つめている。
とりあえず、クラス中をぐるりと見回してみる。






ピアスつけてる人。
ネイル、ガッツリしてる人。
髪染めてる人。






だけど、ひよりちゃんは、
見かけによらず、すごくいい人だった。まだ会ったばかりだけど…。








みんな、ほんとは……
どんな人なんだろう……。






episode : 1 END
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