Happy？～結婚生活は甘くて危険がいっぱいです～

「と、突然何を言っているんだって言うのは俺が１番よくわかってる。

契約での結婚を持ちかけたのは自分のくせに、おかしなことを言っているのはわかってる。

でも…」

俺はそこで言葉を区切ると、斎藤ゆめのを見つめた。

「気がついたら、君のことを好きになっていたんだ。

俺が勝手に…」

「――ずるいですよ」

斎藤ゆめのが呟くように言った。

「もちろん、君の気持ちはちゃんと考える」

「わたしもです」

斎藤ゆめのが言った。

「えっ…？」

今、彼女は何て言ったんだ。

「ずるいです、忠政さん」

斎藤ゆめのは俺を見つめると、
「契約での結婚だったはずなのに、お互いの利害が一致したうえでの結婚だったはずなのに、いつの間にか…それも自分でもよくわからないうちに、わたしはあなたのことが好きになってしまいました」
と、言った。