Happy?~結婚生活は甘くて危険がいっぱいです~
「もう見てるこっちがヒヤヒヤしたわよ。

ケンカになったらどうしようって思ったわ」

その当時のことを思い出したのか、敬子はやれやれと言うように息を吐いた。

「そしたら、村雨さんが何かを思い出したって言う顔をして“じゃあ、こうしないか?”って言ったの。

それが契約結婚だったって言う訳よ。

ゆめのに住むところと仕事を提供する代わりに、自分の妻を演じてくれって」

「そうだったんだ…」

始まりの夜の真相に、わたしはそう返事をすることしかできなかった。

「でも…まさかうまく行ったうえに、本当の夫婦になるとはねえ」

「それに関してはわたしも驚いてる。

頑張っても仲のいい友達で終わりかな、なんて思ってたから」

そう言って、わたしはフフッと笑った。
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