Happy?~結婚生活は甘くて危険がいっぱいです~
テレビも冷蔵庫も服も何もかもが焼けてしまったうえに水がかぶっている。

当然のことながら、その中から使えそうなものは1つもない。

あるものと言えば、自分が今身に着けているリクルートスーツとカバンの中に入っている全財産とスマートフォンだけである。

「出火元はお隣のベランダからで、特にここはよく燃えたそうです」

そう言った警察官に、わたしは何も答えることができなかった。

「ところでですが、斎藤さんは今日はどちらに…」

警察官からの質問に、
「えっと、ハローワークの方に…」

そう答えたら、警察官は不思議そうな顔で首を傾げた。

「実は、先月に勤めていた会社が倒産してしまいまして…」

わたしが呟くように言い返したら、
「そ、それは、お気の毒に…」

警察官はあきらかに地雷を踏んでしまったと言う顔をしていた。

その後で警察官からの質問にいくつか答えると、解放してくれた。
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