Happy?~結婚生活は甘くて危険がいっぱいです~
驚いたような顔をしたお母様に対し、
「た、忠政さん、あんまり自分のことを話してくれないものですから…」

わたしは返事をした。

「忠政が10歳の時に病気で父親を亡くしたの。

私はあの子を育てるために、忠政を母――忠政から見たら祖母に当たるんだけど――に預けて、朝早くから夜遅くまで働いたわ。

だから、それ故に寂しい思いをさせてしまったなって申し訳なく思ってるの」

その当時のことを思い出したと言うように話しているお母様に、わたしは自分の胸がチクリと痛んだ。

息子が結婚して幸せだと信じているお母様の様子に、わたしは申し訳ないと言う気持ちで胸がいっぱいだった。

わたしたちは好きだとか愛してるとか、愛とか恋とかで結婚した訳じゃないんです…と、事情を説明したくなった。
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