【短】届かない声は距離のせい
夕日に照らされ、彼の後ろ姿が輝いて見えた。
「あ」
晴香は先を行く彼の手を見た。
――――わたしの影が……。
そっと触れてみる影の手。光哉と手を繋ぐように、のびた影が少し震えているようだ。
このまま離れていくのをただ待っているしかないの?
開いていく距離はもう縮まることはないの?
未来にあるのは別れだけ?
いろんな想いが募っていく。
背中ばかりを見ていると、その優しい笑顔も忘れてしまいそう。
大好きなのに、忘れてしまうの?