【短】届かない声は距離のせい
――――恐い。
好き。嫌い。
そんな感情なんて今はどうでもよかった。
――――ただ……一緒にいたい。
そんな感情をひた隠しにしてきた。
――――あと三歩。あと二歩。あと一歩……。
抑え込まれていた何かが一気に溢れ出したみたい。勇気が急にわいてきた。
――――光哉と一緒にいたい!
伸ばした右手が彼の手に触れた。
驚いた光哉が立ち止まって振り返る。
夕日に照らされて眩しい。
光哉の顔が見えなくて、照れているのか、怒っているのか、困っているのか、わからない。