【短】届かない声は距離のせい
「わたし、光哉の彼女なの? わたし、もっといろいろしたかったの。カフェ、一緒に行きたかった。美味しい、お店」
「うん……」
「閉店しちゃって、もう……行けなくて。すごく、悔しくて」
「……ごめん」
繋いだままの手がぎゅっと握られた。
熱を持ったそこから鼓動が聞こえてきそうで、わたしは手を離そうとした。でも光哉は離さない。
それどころかわたしの体を引き寄せて抱きしめる。
「ごめん」
「卒業までずっとこのままなんて、嫌だから……っ」
せめて光哉の気持ちが知りたい。
そう言おうとして光哉を見上げた。