【短】届かない声は距離のせい
雪は好きではない。
特に晴れた日、道に積んである雪を見ると異常なほど眩しい。キラキラと輝いて、美しさを見せつけられているみたいだから。
彼も同じように輝いている。
暗いところなどなくて、頼りになって、優しくて、どうしても自分と比較してしまうことに、ますます憂鬱になる。
「ふう」
ため息とともにベージュ色のコートが風にふかれて、寒さに震えた。
いつの間にか足元ばかり見ていたことに気づいて、慌てて顔を上げた。
すると、そこに彼はいた。
日に焼けた顔を太陽に向け、恐れることなく両足でしっかりと立つ彼の姿。羨ましいほどに恰好よくて憧れる。だからこそ、嫉妬してしまう。
とても太陽が似合う人。そんな太陽が羨ましくて、嫌いだった。