【短】届かない声は距離のせい
「たくさん、やりたいことある」
離れてなどいなかった。
傷つけたくない、傷つきたくないと、お互いに触れないからこそ離れてしまっていた。
守るだけでは距離は開くばかり。
だったら、時には我が儘になってもいい。
「光哉、明日も一緒に歩いて」
「いつもの場所で待ってる。明日は手袋外してくる」
手を繋ぐ帰り道。
この距離を忘れない。
この気持ちを忘れない。
わたしたちの距離、ゼロメートル――――。
END