【短】届かない声は距離のせい
うわさ話
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教室に入るとわたしたちは当たり前のように離れる。三年目にしてやっと同じクラスになったのに。
お互いに違う友達と過ごし、ホームルーム中は彼の後ろ姿を見つめる。
後ろ姿も嫌いではない。でも、やっぱり隣にいたいと思う。横顔を見ることも叶わないなんて切なすぎる。
わたしは友達と過ごしながら、頭は彼のことでいっぱい。
『アイツの家、なんか複雑みたいよ』
数日前に友達から噂話を聞いた。友達はわたしたちが付き合っていることを知らない。