【短】届かない声は距離のせい
――――彼女なのに、なにも知らない。
お互いのことを知っていって、信頼関係を結び、もっと距離を縮めたい。
そう思っていたけど、光哉はそんなこと考えていないかも。光哉の心がわからない……。
抜け殻のように空っぽのまま。あっという間に時間は過ぎて、ホームルームが終われば下校時間。
「就職コースは話がある。多目的室に集まるように」
また光哉とは別々。わたしは大学進学、光哉は就職。
すれ違いばかり。
不安、苦しい、悲しい。
そんなわたしの横を通り過ぎて光哉は無表情で廊下に出た。