それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「そこどけろ」



港ちゃんが席から引きずり下ろされる。



「ちょっ!雄大、もっと丁寧に俺を扱えよな!」


「うっせー」



満足気にあたしの隣に座る雄大。


どうやら、雄大と同じインターシップ先になってしまったらしい。
なんていう嫌な運命なのか。



「亜実、久しぶり」


「……雄大」



やっぱり雄大とはどうしてもうまく話せない。

ていうか、隣に座るなんて。
本当に人の気持ちなんてお構いなしなんだ。



「昌也から聞いたよ」



プリントを見たまま顔をあげずに話す。



「え?」


「春樹と」


「……あっ」



何も言えなかった。



「よかったな」



顔をあげないから、雄大がどんな顔をしているのかわからない。



「……うん」



別に雄大にしられたくなかったわけではない。
でも、いざ知られるとなんだか落ち着かない。
みんなどんな風に前に付き合ってた人と話すのかな。

健ちゃんとはまたわけが違うから、わからない。

ふと、雄大の左手に目をやると薬指にはいつもの指輪。

彼女と順調なのが悔しいけど、あたしだって春樹と幸せなんだ。

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