それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
普段は悪ぶってるのにイザというとき頼りになる。
雄大はあたしのヒーローだった。

雄大があたしを守ってくれるものだと思ってた。

ここにきて、簡単に裏切られちゃったけど。
でも、やっぱり裏切られたなんて思えない。

雄大との思い出はいつもピンク色。

どれも色あせてなんかいなくて、今も輝いている。



「いけない!行かなきゃ」



時計の針はすでに授業開始時間を刺している。

時計を見てすぐに走って教室を出る。


雄大のことを思い出すと、つい世界に入り込んでしまう。
どうしても幸せだったあの日々が忘れられない。



「あ、モトカノ」



階段を無心で登っていると頭上から声がする。



「……っ」



見上げれば男女の姿。



「おまえ……なに声かけてんだよ」



ぼそっとつぶやくのはあたしの大好きな声。



「……雄大」



声なんてかけてこななければ、そこに雄大がいるなんて気づかないで済んだ。
ほかの子といるところなんて見なくて済んだ。

無心で登ってたあたしは、声をかけられたせいで顔をあげたんだ。

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