それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「思い出せよ。そんな亜実を見るのは辛いよ」


「辛いなら、雄大があたしの相手になればいいじゃない!」



そんな言葉なんてほしくない。
ほしいのはただひとつだけ。

離れていったあの日からずっと変わらない。



「亜実……そんなこと春樹の前で……「いいんだ雄大」



ずっとあたしたちのやり取りを見ていた春樹が雄大の肩をポンっと叩く。



「でも……」



納得のいかない表情の雄大。



「いつか思い出すまで、毎日会いに来るから」


「強いな、春樹は」



なに、2人でまとまっちゃってるの?
あたしは思い出したくなんてないのに。
なに、勝手に話進めてるの?


あたしは雄大が好き。
その感情は嘘偽りのないものなのに。
どうして、雄大じゃない誰かを愛せって言うの。



「思い出したくなんてない」



そんな、違う人を愛する日なんてこなくていい。



「亜実?」


「雄大以外を好きなんて感情、いらない!」



雄大の腕を掴む。



「俺、帰るからちゃんと春樹と話せ」



ゆっくりとあたしの手を離した。

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