それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「嫌だ、帰らないでよ……」


「ごめんな、約束あんだ」



立ち上がって、横に置いたカバンを持ち上げる。



「彼女?」


「まぁ……そんなとこかな」


「そっ……か」



自分で聞いておいて、胸が抉られたように苦しくなる。

どうして雄大の彼女はあたしじゃないのだろうか。
雄大の隣にはあたしがいたはずだったのに。



「あ、雄大……インターシップ」


「亜実の分もうまくやったから心配すんな」



ポンっとあたしの頭を撫でて、背を向ける。



「じゃあな、元気になれよ」



その言葉を最後にドアが開いて、コツコツ……っと足跡が聞こえて、だんだんと小さくなっていく。



「行っちゃった……」



久しぶりに見た雄大。
やっぱり好きだなぁっと思って。



「本当に雄大が好きなんだな」



ベッドの端っこに春樹が座る。



「春樹……」



この人に対する感情がうまく処理できない。
あたしは知らないのに、あたしのことをすごく好きだと言って、大切なものを扱うかのようにしてくれる。

こんな人にあたしは、何を返したらいいのかわからない。

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