それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「これ、外さなくちゃ」



薬指に光る指輪を見つめる。



「ふっ……」



指輪を外してポケットの中に入れると、溢れてくる涙。

あんなにひどいことを言われても、まだ好きだし諦めるなんて無理。

この指輪は雄大とのペアリング。
二つで一つのハートになる。
だから、雄大がつけててくれなきゃ意味がないの。

これだけは捨てないでほしいと切実に願う。

さっき、雄大の指に指輪はなかった。

新しい彼女がいる今、ついてないのは当然なのだけど。
それでも、どこかにちゃんと置いてくれてるって。
そう思わずにいられない。


ポケットの中に入れた指輪に手を触れて、止まらない涙を拭う。

充分心配かけてしまったみんなには、もう見られたくない涙だから。
ちゃんと止めてから音楽室に向かわないと、と。
しっかりと涙を流してから音楽室へ向かった。




「遅かったねー?なんかあった?」


「ううん。なんとなく動きたくなくてゆっくりしちゃった」



香莉菜には言わなかった。

今日のことはもう、話さない。

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