それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「あ、あぁ……。ありがとう」



一瞬、春樹の表情が強ばった気がしたけど、すぐに元に戻ったので気にせずにスマホを春樹に渡す。



「出んなよ。出て何話すんだよ」



昌也が春樹の手からスマホを奪う。



「昌也、返せよ」



はぁっとため息をついて、昌也に手を伸ばす。



「何話すんだよって聞いてんだよ」



昌也は怒ってるようで、あたしにはなんで怒ってるのか全然分からない。

春樹には雪っていう女の子から電話がきて、それが昌也も知ってる人ではあるのだろう。



「雪……?」



無意識に口から漏れたいた、その名前。



「亜実……?」



不安そうな顔をしてあたしをのぞき込む春樹。



「ねぇ、何してたの?あの子と……」



突然脳裏に浮かび上がって来た光景。
春樹の部屋のドアを開けて、飛び込んできた光景。

あのときと、気持ちとともに蘇ってきた。



「え……?」


「思い、出した……」



あたしは春樹とたしかに付き合っていた。
好きになろうとしてた。
でも、忘れてしまったのは春樹のことだった。

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