それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
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「あ……春樹」



ドボドボと外を歩いていると、ポケットに入れていたスマホの音がなった。

ディスプレイに表示されていたのは春樹の名前。



「もしもし」


『家、出たんだって?』



スマホから聞こえる声はいつも通り暖かいのに。
あたしの気持ちはどうしてこうも離れてしまっているのだろう。

春樹の言う通り、あたしはあのあと家にいたくなくて、荷物をまとめて家を出た。
お父さんには、引き止められたけど、そんなの聞かなかった。

どこに行く宛もなく、とりあえず家を出た。



「うん、お父さんから聞いたの?」


『あぁ、電話来てたよ』


「そっか……」



これからどうしたらいいかなんてわかんない。
でも、家にようなんて気にはならなかった。



『一緒に住もうか』


「……っ」



春樹の言葉に声が詰まる。

あたしたちはもう、以前のようにはいられない。



『同居だよ、ただの同居』



あたしの気持ちを察知したのか、春樹がそう言う。



「春樹……」


『俺ら兄妹だろ。同居したってなんの問題もないよ』


「わかった」



勝手に口が動いていた。

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