それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「前なら諦められたのにな。一度手に入ると人は欲張りになるんだな」



手を握っているあたしの手を引っ張って、抱きしめる。



「春樹……」


「俺、亜実と一緒にいたい。たとえそれが許されないことだとしても」


「わかったよ」



こんなに自分を責めている春樹を突き放すことなんてできなかった。

悲しい瞳をしている春樹に悲しい答えを告げるなんてできなかった。

こんなの入院してたとき、雄大としていたことと同じ。
でも、春樹の熱い想いに触れて、それでも突き放すなんてあたしには無理だった。

今回の方が雄大のときより悪いのに。
あの時は、雄大のことを好きだったけど、今は春樹のことはすきになれない。

それなのに、あたしはまた間違った選択をしようとしている。



「俺、亜実といられればそれで幸せだから。他に何もいらないから」



あたしたちは罪の意識から目を逸らして、お互いを求めあった。

それがどんな結果になろうと、その時はよかった。

罪、なんてそんなもの。
見ないふりをしていればそれでよかった。



「あたしも、幸せだよ」



そう、口にすることで罪の意識から逃れていた。
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