それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「好きだからだよ。好きな奴には幸せになって欲しい」


「好き……?」



そんなわけがない。
あたしだって、好きだ。

好きで好きでどうしようもないくらい好きだ。

好きだと言われて苦しいのはこれが初めてかもしれない。



「好きだよ。ずっと」


「彼女いるくせに……」



彼女のことが好きだから、あれから別れずにいるくせに。



「彼女?」


「指輪、まだしてるじゃん」



あたしとの指輪なんて、別れてすぐに外したくせに。



「これは……」



雄大が自分の薬指を見て、くちごもる。



「ほら!言えないじゃない!」



雄大の腕が緩んだすきに腕から抜け出して、歩き出す。

これ以上振り回されてたまるもんか。
あたしには、春樹がいる。
雄大とは違って、あたしだけを思ってくれる人が。



「待てよ!」


後ろから走ってきた雄大に抱きしめられる。



「やめてよ、もう……」



振り回されたくない。
無駄な期待をして傷つきたくない。

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