それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「……うん」


春樹の手をとる。


「待てよ」



あたしと春樹の手を離させる雄大。



「俺は亜実が好きだ。必ず奪いに行くからな」



〝奪いに行く〟
そういった雄大はとても真剣な目をしていて。
雄大の気持ちに触れてしまったら、もう、あたしの気持ちも抑えられなくなってしまう。



「痛……っ」



雄大といたい、その気持ちが強くなったとき、急にお腹が痛くなって、その場にうずくまる。



「大丈夫か?」



春樹が心配そうな声で、そして、あたしの背中をさすってくれる。



「とりあえず、帰る」



なんとなく思い当たることがあった。
ここでこうしてうずくまってなんかいられないから、あたしは立ち上がる。



「雄大」


「ん?」


「あたし、雄大とは付き合わないよ」



ひとつの覚悟を決めて。



「待てよ!どういうことだよ」



あたしの肩を掴んでふりむかせる。



「理由必要?」


「俺が亜実を好きだから、聞きたい」


「雄大だって言わなかったじゃん」


「……っ」



あたしの言葉に何も言えなくなる。

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