それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「どうして……」



トイレの前にたどり着いたところで、立っていられなくなって前の壁に座り込む。

どうしてだろう。
別に付き合わなくたってよかったの。

ただ、一緒にいたかった。
ただ、話したかった。
ただ、会いたかった。
ただ、触れたかった。
ただ、あたしを見て欲しかった。

それだけなの。
百合さんのことはしようがないってわかってる。

せめて、笑い合う。
それだけでいいから。



「お前さ」



頭上から聞こえて来た声に顔を上げる。



「泣くなら来るなよ」



雄大の目は冷たい目をしていた。



「頼むから俺のことはもう忘れて」


「忘れるわけ、ないよ……」


「俺はもう、亜実になにもしてやれない」



しゃがみこんで、あたしの頬にそっと触れる。



「別になにかしてくれなんて言ってない。あたしは雄大のこと、すきだから。会いたいし話したい。ゆずみたいに楽しくいたい」



何度も振られても、雄大と友達でいられるゆずがすごく羨ましかった。

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