それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「あたしもわかんない」



言いながら出てくるのは苦笑い。



「俺が亜実のこと傷つけたみたいじゃねぇか」


「なんで?」


「だって、俺が保健室で言って知ったんだろ?」


「悪いのは雄大だよ。それにあそこで言われてなくてもどこかで誰かに聞いてたよ」



あたしたちが別れたなんて、始業式の次の日には噂になってた。
それに、そのうち香莉菜や昌也が雄大から聞くだろう。



「……それもそうか」



納得したようなセリフを吐きながらもどこか不満げな和樹の表情。


和樹ってこんなのいい奴だったかとふと思う。
いままで、雄大しか眼中になくて、和樹のよさに気づいてなかったのかもしれない。



「ありがと。優しいね」


「んなの亜実だからだろ」



いつになく真剣な表情の和樹に胸がとくんと動く。



「……和樹」


「ふだん冗談ぽく言ってるけど。俺、マジだから」


「え?」


「雄大がいたからセーブしてたけど」



照れたように頭を掻く和樹。



「ぜんぜんセーブになってないけどね」


「まぁな」



和樹の言葉にお互い顔を見せあって吹き出す。

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