それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「あたし、歩の事大切だと思えたのに、それ以上に大切な人がいて……きっと傷つけたんだと思う」



〝友達から〟そうして握手を交わしたとき、この人ならもしかしてって思ったはずだった。
それはやっぱり雄大に似ていたからなんだけど。
でも、それもひとつのきっかけだと思っていた。
それでも、あたしは、雄大が好きなままだった。



「仕方ないよ。誰かを傷つけなきゃならない場合もあるもの」


「さーたん……」


「ごまかして、その人を選んでも幸せにはない。だからこれで良かったんだよ」



ポンポンと優しく頭を撫でてくれる。



「ありがとう、さーたん」


「きっと亜実ちゃんが大好きな人も亜実ちゃんを想ってるよ」


「……え?」



さーたんの言葉に顔をあげる。



「昨日、尋ねきた人が大切すぎていつも傷つけてしまうって言ってた」


「え?」



その言葉が誰のものかもわからないのに、胸がぎゅっとなる。


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