それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「自分には幸せにできないから、傷つけて嫌われてしまわないと自分の想いを口走ってしまいそうになるって」


「さーたん、その人はいま……?」



誰が言った言葉なんてわからない。
でも、もしかしたらと思ってしまう。



「専門卒業して、今年から美容師だよ。おない年の子たちよりは1年遅くね」



にっこりと微笑む。



「さーたん!」



さーたんの情報はどこからどう聞いても雄大にしか聞こえなくて。
思わずさーたんに抱きつく。



「スッキリした顔してるね」


「さーたんのおかげ」


「元気になって、よかった」



雄大がただただ愛おしかった。
でも、雄大はパパになるから。
だから、その気持ちを知れただけで十分。

あの冷たい目は、全部あたしが混乱しないようにしてくれたことだった。
あたしが雄大のことをいつまでも思ってないように、諦められるようにわざと冷たくしてくれていた。

それでも、諦めの悪いあたしは諦められなかったけど。

こんな隠された優しさを知ったら、もっともっと大好きになったよ。

きっと、ずっと大好き。

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