それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
だから、このホテルにあたしがいることも知っているわけだ。



「……バカ」



どうせ浮気するなら、見られないようなところでして欲しい。
知らないなら、あたしは裏切られてないままでいられるのに。



「亜実?はじまるぞ?」



あたしのことを探していたんだろう、春樹に肩をぽんっと叩かれる。



「……春樹」


「ん?どうした?」



春樹の優しい笑顔はいつも変わらない。

それなのに、どうして変わることはあるのかな。



「なんでもない。行こうか」



春樹に笑顔を向けて、ふたりでエレベーターに乗る。



「披露宴の灯ちゃんも綺麗なんだろうね」


「そうだな。健もカッコイイんだろうな」



せっかくの健ちゃんと灯ちゃんの披露宴。
嫌なことは忘れて、楽しもう。
クリスタルのオリジナル曲もあるし。
楽しみがたくさん待ってるんだ。

そう決めて、あたしはなるべく雄大のことを考えないようにふたりの披露宴を楽しんだ。
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