それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
『本当はマンションに住んでる人じゃないとダメなんだけど、ここもう子供いねぇから穴場』



なんて言って忍び込んだときのこと、いまでも鮮明に思い出せる。



『しかも向こうから見えないしこんなこともできちゃう』



そんなこと言いながら、あたしの唇にキスを落とす。



『もう、バカ。見られたらどうすんのよ』


『手つないで逃げたらいいじゃん』


ニカって笑ってたね。

雄大との思い出はどれも輝いているのに。
どうして、誰のことも信じたくない今も雄大との思い出は色あせてないんだろう。

どう考えたって雄大なんて悪いやつなのに。
勝手に離れて、たまに思わせぶりな態度してくれる。
どうして、こんなに好きで好きでたまらないんだろう。



「ほら、ついたよ」



雄大とのことを思い出していたあたしは、優くんの言葉にハッと我に返る。



「ちょっとまっててね。ただいまー」



リビングのドアをあけて入っていく。



「お前なんだよー、女の子って」



ドアの向こうからはもう1人、男の人の声が聞こえる。

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