それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「そんな人、知らない!」


「え?亜実?」



気がつくと叫んでいたあたしを心配そうに見る。

和樹のことなんて聞きたくなかった。
名前なんて、聞きたくない。



「和樹となんかあったのか?」



雄大があたしの腕をつかむ。



「だからそんな人知らないってば!」



あんな記憶なかったことにしたかった。
もう思い出したくもなかった。



「神崎自体が整理ついてないから、あんま聞かないでやってくれるか?」



健ちゃんが雄大の腕を引っぱる。



「あんた、どういう関係?」



雄大が健ちゃんを睨みつける。



「怖っ!君とつき合う前まで付き合ってた元彼ってやつ?」


「は?なにそれ、再会して和樹やめたってこと?」


「いやいや、俺にはコイツいるし」



カウンターにいる灯ちゃんを指差す。



「だいたい、神崎は俺にときめきいたりなんかしないぜ?」


「は?」


「お前を好きになって俺は振られたんだから」



どこか懐かしそうに笑う。



「ふーん」



雄大はどこか不機嫌なまま。

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