それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
「雄大への当て付けだ」



和樹がぼそっと呟く。



「は……?俺?」



雄大が唖然とした顔になる。



「俺の中学ん時の彼女わかるか?」



和樹が雄大をキッと睨む。



「雪(ゆき)だろ……」


「アイツと別れた理由が雄大を好きになったからだったんだよ」



和樹の言葉に雄大の顔が一瞬強ばる。



「それ、は……」



突然歯切れが悪くなる雄大。



「だから!お前に俺を怒る筋合いはねぇよな」


「……っ」



和樹の元カノと雄大の間に、恐らく以前なにかがあったんだろう。

その証拠に雄大の表情は固いままだ。



「雪を取られたときの俺の気持ちに比べたらな!」


「まだ雪と続いてたなんて知らなかった。悪かった」



雄大が和樹に頭を下げる。



「謝られても事実は変わんねーよ」


「俺のせい、か」



雄大が空を見上げる。



「全部昨日、言うつもりだった……」



和樹があたしに向かって歩いてくる。



「和樹……」



「ごめん。亜実」



和樹があたしに向かって頭を下げる。

< 86 / 349 >

この作品をシェア

pagetop