虹虫
「はいはい、それじゃあ一人で帰る」



ナツミはそっけない態度をとって、二人しかいない放課後の教室を出ていこうとした。



「ちょっ、待てって!」



俺は慌ててナツミの手を掴み、呼び止めた。



「じょ、冗談に決まってんだろ? ほらあれだよ」



途中で自分が言った言葉に恥ずかしさを覚えた。



「最近通り魔とか多いだろ? だ、だからさぁ、なぁ」



すると、ナツミはにっこり笑い握った手を上げた。
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