虹虫
「し、しゃーねーな! 今日だけだぞ、今日だけ」



「わかったわかった、そんな必死にならないでよ。でも−−」



ナツミは一つ間を置いて静かに告げた。



「そんなケンジも、好きだよ」



その一言は俺の心に刺のように刺さった。



でも−−。



俺は笑い返すしかできなかった。



それでも、嬉しかった。
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