天国への橋
4
それから十二年。
俺は、自分の部屋でその頃の写真を見ている。
思い出している。
ずっと親父が、そばにいてくれると信じていた頃を。
親父が大好きだった、あの頃を……。
一階では、葬式の準備が進められているらしく、時々大きな物音が振動として響いてくる。
母さんもお人よしだよな。
葬式まで世話するなんてさ。
ため息を吐き出し、俺は再び写真に視線を落とした。
記憶の中では若い親父も、すっかり歳をとっていた。
顔には深いシワが刻まれ、髪も白髪が目立っていた。
そして………冷たかった……。
親父は虹を見て、自分は天国へは行けないと呟いていた。
何をしても行けないと。
その意味が、今ならよくわかる。
そして、親父の瞳が潤んでいた訳も、名残惜しそうに俺を見つめていた訳も。
ためらう様に、何度もノブに手を伸ばしていた訳も。
なぜ振り向かなかったのかという訳も……。
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俺は、自分の部屋でその頃の写真を見ている。
思い出している。
ずっと親父が、そばにいてくれると信じていた頃を。
親父が大好きだった、あの頃を……。
一階では、葬式の準備が進められているらしく、時々大きな物音が振動として響いてくる。
母さんもお人よしだよな。
葬式まで世話するなんてさ。
ため息を吐き出し、俺は再び写真に視線を落とした。
記憶の中では若い親父も、すっかり歳をとっていた。
顔には深いシワが刻まれ、髪も白髪が目立っていた。
そして………冷たかった……。
親父は虹を見て、自分は天国へは行けないと呟いていた。
何をしても行けないと。
その意味が、今ならよくわかる。
そして、親父の瞳が潤んでいた訳も、名残惜しそうに俺を見つめていた訳も。
ためらう様に、何度もノブに手を伸ばしていた訳も。
なぜ振り向かなかったのかという訳も……。
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