天国への橋
毎日クタクタになって帰って来る母さんを見て、親父を恨んだ事もある。



それでも母さんは弱音を吐かず、いつも笑っていた。



どんな時も、俺を一番に考えてくれた。







そんな風に十二年間、二人で過ごしてきた。







辛いはずなのに、疲れているはずなのに、悲しいはずなのに……母さんは、一度も親父を悪く言った事は無かった。



きっと……きっと母さんは、別れてからもずっと、親父を好きだったに違いない。




親父の遺体の傍らで泣く姿が、その想いを証明している。










何も語らない親父。


ただそこにあるのは、魂の抜けた身体。





ふざけてるよ……。


今更帰って来て、それも死んでからで。



最後の最後まで母さんを泣かせてるんだもんな。







俺は許さない。


絶対に親父を許さない。


俺達を見捨てた男なんだ。


こんな奴の為に流す涙なんて無い。








許せない……許せる訳ないだろ。




泣いてなどやるもんか!







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