天国への橋
「十二年経っていても、この人…ここしか帰る場所が無かったのよ?」

「放っておけば良かったじゃないか!離婚して、もう他人なんだろ?!」

「でもここは、この人の家よ?」

「俺は手放せって言ってただろ?!何を言っても、俺は認めないからな!」





そうだ!

誰が親父だなんて認めるもんか!








「だって、これを見てよ……」



そう言って振り向いた母さんの手には、あの古い写真。






……そんな物が、何だっていうんだよ。







見ようとしない俺に、母さんはしつこいくらいに写真を突き付けてくる。


どうしても見せたいらしい。







俺は、わざと大きなため息をついて見せた。


あからさまに嫌々な顔を作り、写真に手を伸ばす。










古い……と言うより、ボロボロと言った方がよさそうな写真。



角は丸く削れ、しわしわのペラペラ。


所々は小さく破けており、縁取りの白い部分は、茶色に変色している。







何だ………これ……。








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