たまゆらなる僕らの想いを
道連れという響きは確かに自分勝手だ。
ナギから聞いた時は切ない恋の物語でロマンチックだとさえ思っていた。
けれど、見方を変えれば神さまは自分の願いを叶えているだけ。
と、そこまで考えて気づく。
「そういえば、八雲君の借りた話の中には、あまり娘の想いが書かれてなかったかも」
もしかしたら他の人が書いたものには書かれているかもしれないけど……
「だから、神さまがワガママに見えちゃうのかも」
もしも人の娘も神さまのことが好きでたまらなくて、一緒に生きて死にたいと願っていたのなら。
黄泉の国でも片時も離れたくないと望んでいたのなら。
……なんて考えてしまうのは、私にも想う相手がいるからかもしれない。
「そうやって考えられるのはさすがだな」
「え?」
「ガキの頃も、凛はそうやってナギのワガママを受け止めてただろ」
「そう、だっけ?」
お野菜を箸でつまみながら首を傾げると、ヒロは「そうだ」とひとつ頷く。