たまゆらなる僕らの想いを
「あ、あのっ、日本酒を買ってくるように頼まれて」
「銘柄はわかります?」
「えっと、待ってください。写真を……」
話しかけられて、慌てながらスマホを操作する。
先に写真を表示させてからお店に入れば良かったと小さく後悔していると。
「……あら? あなた、凛ちゃん?」
「えっ?」
店員さんに名前を呼ばれて、私は目を丸くした。
「大斗の幼馴染の凛ちゃんでしょ?」
「は、はい」
「やっぱり! この前チラッと見ただけだったけど、可愛いからすぐ思い出せたわ」
か、可愛いだなんて、あまり言われないから恥ずかしい。
思わず頬が蒸気し、けれど目の前の女性が誰なのかわからず戸惑っていたら、気づいてくれたのか「あ、いきなりごめんね」と微笑んで。
「私は、大斗の姉です。凛ちゃんとは引っ越す前に何度か会ってるけど、覚えてないよね」
「ヒロのお姉さん! ご、ごめんなさい。小学校の時に会ったことあるのは覚えてるんですけど、お顔まで思い出せなくて……」
「それは私も似たようなものなんだし、気にしないで。それにしても、昔も可愛かったけど変わらないのね。また会えて嬉しいわ」
恐縮する私に、ヒロのお姉さんはヒロに似た涼やかな目元を細め優しい笑みを向ける。