たまゆらなる僕らの想いを
ヒロのお姉さんは、確かヒロより四つ年上だ。
小学校の学童保育に、ヒロと一緒に時々来ていたのを覚えている。
ただ、幼いヒロとは違い、ご両親がお仕事をしていても家でおとなしく待っていられるとかで、学童保育に来る頻度は本当に少なかったと思う。
その上私の人見知りもあり、あまり話した記憶もないのだけど、昔も可愛かったと言ってくれてたし、ヒロのお姉さんはなんとなくでも私の姿を覚えていてくれてたのかもしれない。
「それで、凛ちゃんが頼まれたお酒はどれ?」
「えっと、これなんですけど……」
声にしながらスマホに表示されている写真を見せると、ヒロのお姉さんは真っ直ぐに伸びた綺麗な長い黒髪を耳にかけて覗き込んだ。
ふわりと、甘すぎない花のような上品な香りがして、高校の同級生とは違う大人の女性の雰囲気に憧れのような感情が生まれる。
「ああ、これなら確かこの辺りね」
ヒロのお姉さんは、棚から白い酒瓶を一本取り出すと、私に「これでいい?」と確かめた。
私はすぐに写真と照らし合せてコクコクと頷く。