たまゆらなる僕らの想いを
「とりあえず、昼飯用意するから座ってろ」
「私も何か手伝わせて」
「それなら、これ、よろしく。グラスはそこの食器棚のを適当に」
「はい」
荷物をダイニングテーブルの横に置いて、ヒロからお茶の入ったピッチャーを受け取る。
それをテーブルに置いてから、食器棚の引き戸を開いて透明なグラスを二つ取り出した。
その間に、ヒロは鍋を火にかけて何かを温め始めたようだ。
もしここにナギもいたら、とても幸せなのにと考えつつ一つ目のグラスにお茶を注いでいると、レンジの扉を閉めてスタートボタンを押したヒロが振り返る。
「あれからまた八雲の自由研究は進んでるか?」
「うん、順調だよ。あともう少しで完成するかな」
昨日は八雲君の書いた絵に文字を下書きしてあげた。
今日はそれをマーカーでなぞって書くって言ってたっけ。
あとは紙芝居を入れる枠を作ったら完成だ。
「自由研究、俺らもやったな」
「そうだね。懐かしい」
「凛は何を作ったか覚えてるか?」
「ええっと確か……」
自由研究と言われて思い出すのは、小学二年の時に作った宝石の形をした石鹸だ。