たまゆらなる僕らの想いを


弱々しく吐き出した本音に、ヒロは呆れるでも叱るのでもなく、静かに声にする。


「素直な気持ちを打ち明ければいい」

「素直な気持ち……」

「どう言えばいいのかわからないと、最初に伝えて話せばいい。相手がせっかちじゃなきゃ、待ってくれるだろ。それで、自分がどんな気持ちか、どうしたいかを伝えて、互いが納得いくように根気よく話し合うしかないんじゃないか?」


それは、ナギのアドバイスから一度自分でも考えたことだった。

求めるばかりで、伝えていないと。

そして、ヒロに言われて思い出すということは、わかっていたはずなのに同じことでぐるぐる悩み続けている証拠で。

ダメだ。

こんなんじゃ、いつまで経っても変われない。

やっぱり、母とはちゃんと向き合わなければならないのだ。

そうしなければ、どうにかこの島で暮らせても、根っこの部分は変われないまま。

変わりたいなら、少しでも行動を起こさないと。


< 151 / 262 >

この作品をシェア

pagetop