たまゆらなる僕らの想いを
第四章

【解けていく糸】



──病院を出てから知ったのは、ナギが頭痛を訴えたあの場所が、事故現場だったらしい。

八雲君が言っていたのは、ナギのことだったのだ。

それをヒロから聞いて、私は色々と納得する。

事故現場に、比良坂神社。

ナギが現れる場所は、どちらもナギにとって関りの深い場所で。

そして、御霊還りの社は、黄泉の入り口と囁かれている神聖な場所だから、ナギに会いやすいのだろう。

もしくは、ナギの心が、天国にいる家族を求めているからなのか。

そんな風に考えて、またも眠れぬ夜を越えた翌朝。

私は、座卓の上に置いたスマホをジッと見つめていた。

誰かからの連絡を待っているわけではなく、私から連絡をするのに勇気が出ないのだ。

身支度と朝食を終えて、お願いしようと決めてから、もうかれこれ三十分近くこの状態でいる。

先延ばしにしても、自分の気持ちが固まっているなら交渉はしなければならないけれど、この前電話口で揉めてしまってから何の連絡もお互いしていないし、交渉は決裂するのは想像が容易い。

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