たまゆらなる僕らの想いを


『でも、そう思い込むほど、お母さんはあなたに不安を与えていたということなんでしょう?』


ため息が吐き出されるのが聞こえて、次いで。


『……この前、おかしくなったのは私の方だと凛に言われて考えたの。正直に言えば、あなたはしっかりしてるからと甘えていたわ』


いつものような、咎めるでもどこか不機嫌そうなものではなく、母の真面目で穏やかな声が語る。


『お父さんが亡くなって。おばあちゃんが亡くなって。凛がいてくれればいいと、そう思ってたけど、寂しかった。ひとりであなたを支えるには、お母さんは弱かった』


吐き出した言葉と同様、母の声色が弱さを滲ませて。


『疲れて、あなたにあたることもあった。そんな自分は好きではなかったから、今日は優しくしようと何度も思って。でも、いつも胸にあるあなたを育てるという責任と不安が私を揺るがして……』


うまく、できなくて。

仕事を理由に、今の彼を理由に、私と向き合うのを避けていたのだと、母は話した。

逃げ道を見つけてしまったのだと。

初めて知った母の本心、葛藤。

悩んでいたのは、私だけじゃなかった。

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