たまゆらなる僕らの想いを


「お母さんっ……ごめ、っなさい……」


私を繋いでいた重い鎖が外れる。


「お母さんの気持ち、何も考えてなくて、 ごめんなさい」

ようやく。

ようやく。

砂を蹴って、光を受けて揺らめく水面を目指せる。


『今話したことは、凛が帰ってきたら伝えるつもりだったの』

「そうだったんだね……」

『とりあえず、島で暮らしたいって話しもあるし、帰ってきたら色々話し合いましょうか』


お互いに、いい方向に進むように。

優しい口調で提案されて。

私は溢れた涙を拭うと熱い息を吐き出し、鼻をすすって頷いた。

電話越しに温かい雰囲氣が漂って、お母さんが『今更だけど、明けましておめでとう』と挨拶してくれて、思い出す。

大切な用件を。


「あ、あの、お母さん。実はお願いがあって」

『だから、島に住みたい話しなら帰ってからよ』

「そうじゃなくて、ナギが、死んじゃうかもしれなくて」


死というフレーズを口にして、凪いだ感情がまた波立っていく。

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